2007年5月27日日曜日

脆銀鉱 STEPHANITE 神岡鉱山産


銀の鉱物で代表的なものは、ネイティブシルバー、パイラジライト、プルスタイト、アージェンタイト、ステファナイト、ポリバサイト、マチルダイトがあります。

これらのうちネイティブシルバーは文字通り銀色そのものの色をしていることが多くすぐに判別できます。プルスタイトもルビーシルバーと呼ばれる鉱石ですの で、赤い色をしており割と分かりやすいです。パイラジライトとポリバサイトは、強い光の下では赤いものがあり、そういうものはある程度絞り込めますが、あ まり赤くないものもあり、その場合他の銀鉱物との肉眼鑑定はかなり難しくなります。

この石もステファナイトとしていますが、きっちり分析すると違う可能性もあります。銀のあの白っぽい金属色からは想像できない黒っぽい結晶です。結晶していないとなお一層鑑定が難しくなります。

銀鉱物はたいていの場合このように結晶で産することが少なく、結晶度の低い緻密な感じの石英の中にパイライトやカルコパイライト、スファレライトといった 他の金属鉱物の微粒と混ざって黒っぽい筋として産出することが多くなっています。そういった鉱石を銀黒と日本では呼び、各地の鉱山で盛んに銀鉱石として採 掘されました。

産出量の少なさから銀鉱物の結晶はコレクターの中で人気が高くなっています。

このステファナイトを産した神岡鉱山は鉛の鉱物であるガレナの中にマチルダイトという鉱物が細かく含まれることで銀鉱山としても有名でした。ただしこの銀鉱物は眼に見えないものですので、標本としては人気がなく、流通していませんでした。

それが鉱山採掘中に一部の鉱脈から、それまで知られていた鉱床タイプとは異なる出方で銀品位の高いものが見つかり、その鉱脈から盛んに銀鉱物を産したので、銀鉱物の標本鉱山として、一躍名を知られることとなりました。

ステファナイトの8mmくらいの結晶やパイラジライトの10センチほどの塊、2mmほどのアージェンタイトの粒つぶ、5mmくらいのポリバサイト結晶など日本産としてはかなりグレードの高い標本が数多く出回りました。

この標本は1センチくらいの水晶のクラスターの上にステファナイトの結晶がいくつもくっついている良標本です。赤い粒粒はスファレライトの小さな結晶です。

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