2007年5月28日月曜日

方鉛鉱 GALENA 神岡鉱山産


鉛の主鉱石であるガレナです。

硫黄と鉛の結合した天然石で、さいころみたいな6面体の端っこが少し欠けたような結晶形をしています。

最初ガレナを知ったとき、鉛そのものの色っていうのが衝撃的でした。ちょっと黄土色っぽい結晶はカルコパイライトです。

ガレナは、表面が少し酸化して光沢が落ちてしまっている標本が多く、これだけ光輝いている標本は貴重です。

針のように細かい水晶と白い厚みのある板のようなカルサイトを伴っています。いろいろな鉱物が集合体となって織り成す景色が美しいですね。

鉛の鉱物ですので、持つとずっしりと重い石です。この重さが金属結晶コレクションの魅力のひとつと言えます。

煙水晶 SMOKYQUARTZ 神岡鉱山産


岐阜県のスモーキークオーツ産地といえば、恵那市周辺の花崗岩地帯から産出するものが有名です。

この天然石は珍しく神岡鉱山のヘデンバージャイトの中のポケットから出たもので、黒いスファレライトと裏側には薄いアメジストと黒いイルバイトの結晶と伴っています。

こういった産状のスモーキークオーツは珍しく、僕の所蔵品の中でも唯一のものです。

もともとはアメジストとしてできたものが、何らかの作用でスモーキークオーツに変化したものと思いますが、どういう作用でこうなるのかはよく分かりません。

まわりは白い水晶なのに、ポケットの中心に向かうほどスモーキークオーツになるというのが面白いですね。

閃亜鉛鉱 SPHALERITE 神岡鉱山産


画像の奥の方にはカルサイトの白いころっとした結晶が写っていますし、まわりには水晶の単結晶がにょきにょき生えていて、見ていて飽きない石です。

この石もべっこう亜鉛といえる石で、透明感があるのが分かります。

閃亜鉛鉱 SPHALERITE 神岡鉱山産


このスファレライトは硫化亜鉛で、亜鉛の主要な鉱石として世界中で採掘されています。

鉄の含有量によって色彩の変化の激しい石で、通常鉄分の多い真っ黒なものがほとんどですが、稀に透明なものや白色、黄緑色、黄色などが存在します。

この石は一見黒色ですが、強い光を当てると、透明感があり、このようにべっこうに似た色彩を放ちます。そのため日本名では通称べっこう亜鉛と呼ばれています。

一見不透明な金属の結晶に見えますが、強い光によって変化するさまがとても魅力的で、かなりお気に入りの石です。屈折率もとても高く、磨いてやると、かなり強い照りがあるのですが、硬度が低くて宝石用には加工されていません。

スファレライトの横に小さな水晶が花のようにしているところがチャーミングな石ですね。

金属が結晶するってみなさんご存知でしたか?
僕は最初標本を見たときに衝撃的でした。鉱石はすべて塊でしか採れないと思っていましたので・・・

水晶 QUARTZ 甲武信鉱山産


丸い緑のクロライトを主とする両すいの緑水晶の上に、透明で美しい大きな白水晶がくっついているものです。

通常はセプタークオーツと言って、細い水晶の上に大きな水晶がくっついているものを割と見かけますが、このように片面にずれてくっついている石は、めったに見ることがありません。

この場所の水晶には、横の柱の面に透明な水晶がくっついたものも有り、非常に特異な形状のセプタークオーツ?が数多く見つかりました。

水晶 QUARTZ 甲武信鉱山産


この水晶はアクチノライトインクリュージョンではなくクロライトインクリュージョンだと思われます。

結晶の表面に丸い球でいっぱいついています。

他に0.3mmほどの結晶ですが、チタナイト(楔石)の結晶が無数といえるほどの数ついています。少しクリーム色っぽい小さい結晶がそれです。

それと水晶の内部にある黒色の板状結晶はイルメナイト(チタン鉄鉱)です。チタンリッチな緑水晶ですね。

ちなみに大きさは約7センチの水晶です。20センチくらいのポケットから、この水晶を最大に約30本ほど産出しました。すべての水晶にチタナイトがいっぱいついています。

水晶 QUARTZ 甲武信鉱山産


ジャパニーズローツインの双晶形態の水晶です。結晶そのものはややルーズですが、緑水晶の日本式双晶はかなり珍しいので、お気に入りの石です。

X字型になっている点もいいですね。

水晶 QUARTZ 甲武信鉱山産


大きな石英脈の一部のポケットから産出した緑水晶で、透明で美しい水晶の内部にアクチノライトの針状結晶を多数含むものです。

緑水晶の内部の緑色の鉱物は、クロライト、ヘスティングサイト、アクチノライト、ヘデンバージャイトなど多種におよびます。

結晶の特定の部分が緑色になっており、一種のファントムクオーツと言えます。

このポケットからは、ほぼ同じ位置が緑色になった水晶が20本ほど産出しました

緑鉛鉱 PYROMOPHITE 神岡鉱山産


たるを縦に長く伸ばしたような結晶の形が良く分かる石です。
この石は鉛を主体とする石ですので、当然ながらこのような塊状のものを持つとずっしりと重いです。
僕は見かけはそう見えないのに持ってみると重いという石が好きで、この石もとても好きです。

しかし硫化鉛は当然ながら鉛色のグレー色なのに、燐と塩素と結合するだけで、こんなに綺麗な緑の石に変わるのですからとても不思議です。

この石の不思議なところは、もともとの硫化鉛であるガレナが変質したものであるはずなのに、ガレナと直接接して出ることがありません。リモナイトという酸化鉄の中や鉱石から離れたところの岩の亀裂に結晶したりしていることが多い石です。

もとは同じ石でも、仲たがいしてしまっているみたいですね。その点硫酸鉛であるアングレサイトはガレナと仲良しのことも多い石です。

2007年5月27日日曜日

緑鉛鉱 PYROMOPHITE 神岡鉱山産


この緑の天然石って、実はあの金属の鉛と塩素と燐がくっついたものなんです。

あの鉛色したものが、こんなに綺麗な黄緑色になるなんて、天然石の世界は不思議です。

えんぴつの真ん中を膨らましたような形の結晶が、こういうふうにいっぱい集まっているものが多いです。

綺麗な色の石なので、コレクターに人気のある石です。つい最近では中国でいい産地が見つかって、けっこうお店にならんでいました。今でも少し見かけます。

鉛の石なので、見かけと異なり、持つとすごく重いです。

ちなみに緑ではなくて、紫色したこのパイロモファイトもありますが、量が少ないので、お店にあんまり出回っていません。緑と紫色のほかには、黄色、白色、茶色のものがあります。

閃亜鉛鉱 SPHALERITE 神岡鉱山産


なんだか神岡鉱山の石が多くなっている当ブログです。

その理由として、一時鉱物標本の販売を鉱山の探査課が直接手がけておられていて、そのときに幸運にも数回買い付けに行くことができましたので、ある程度の数の標本を手に入れることができました。

数多くの鉱山が閉山してから生まれた僕にとって、あの神岡鉱山の鉱物販売所は夢にまで見たような場所でした。あこがれの金属鉱物結晶やアポフィルライト、 水晶、カルサイトの標本が机の上や棚の上に無造作に置かれており、それらの中から気に入ったものを集めて、探査課の方に値段を聞いて買うことができまし た。今はその販売所の小屋も取り壊され、今は昔となっております。

すでにスファレライトがその4まできていますが、神岡鉱山の主鉱石が亜鉛なもので、それに比例して標本が多くなっております。

鉛も鉱石なのですが、意外とガレナの結晶標本は少なく、やや手に入りにくくなっています。

このその4のスファレライトですが、鉄の多いスファレライトとされる黒色の結晶です。

スファレライトの結晶は4面体とされていますが、色々な面が現れたり、結晶面が平滑ではないことが多く、僕の手持ちの標本の中でも白板鉱山の標本しか、綺麗な4面体のものを持っていません。

この標本もよく目をこらして見ると、三角の面が所々見えており、4面体ベースの結晶であることが分かります。
右上に白い水晶の球が添えられており、この標本を見るときのアクセントになっています。中央部やや右側にはガレナの結晶が横たわっています。分かりますか?

天然石で販売されているものは単独の結晶である場合が多いのですが、鉱物として販売されているものは、このように数種類の鉱物の集合体である場合が多くなっています。

採集の場合、現場で気づかなかったけれども、家に帰ってゆっくりと眺め回していると、意外な鉱物がくっついていて、またその産地に行かなければいけなく なったということが少なくありません。大きな大人が一人で石をルーペで眺めながら、にやにやしたり、ああでもないこうでもないとつぶやいている様は、周り から見るとちょっと面白いかも知れませんね。

珪灰鉄鉱 ILVITE 神岡鉱山産


このイルバイトはカルシウムと鉄、珪素からなる天然石で、石灰岩が熱変成し、鉄が濃く集まったような岩石に出ます。

この産地のイルバイトには二つの産出形態があり、そのひとつはヘデンバージャイトの塊の中の隙間を充填する石英に埋没して出るタイプ、もうひとつはポケット中にヘデンバージャイトの結晶や水晶の結晶にくっついて出るタイプです。

不思議なことに前者は最大5センチ近くある長い結晶のものが多く、後者は、柱の面が短くとがった垂面どうしがくっついたようなコロンとした5mmまでの可愛らしい結晶が出ます。

この標本は後者のタイプです。

このイルバイトは塊や柱状の結晶集合体で出ることも多く、屋外で採集したときには、ショール(鉄電気石)と紛らわしい場合があります。

世界的には、素晴らしいイルバイトを大量に産する産地があっても良いと思うのですが、黒い不透明な結晶ということで、あまり高い値段がつかないのか流通していません。

花崗岩ペグマタイトに大量に産するショールは割りと見ることがあるのですが・・・

天然石・鉱物の世界では、大量に石が出回っているから、いくらでもどこでも出ると思われがちですが、世界的に見てそこだけで大量に産するものなんかがあります。

ラピスラズリなんかそういう石の代表格ではないでしょうか。現地では層状か岩体として大量にあるのではないかと思われますが、世界的には産地が少なく、他にはロシア産以外見たことがありません。

金色のルチル入り水晶なんかもそうですね。ブラジル以外の産地のものを見たことがありません。

脆銀鉱 STEPHANITE 神岡鉱山産


銀の鉱物で代表的なものは、ネイティブシルバー、パイラジライト、プルスタイト、アージェンタイト、ステファナイト、ポリバサイト、マチルダイトがあります。

これらのうちネイティブシルバーは文字通り銀色そのものの色をしていることが多くすぐに判別できます。プルスタイトもルビーシルバーと呼ばれる鉱石ですの で、赤い色をしており割と分かりやすいです。パイラジライトとポリバサイトは、強い光の下では赤いものがあり、そういうものはある程度絞り込めますが、あ まり赤くないものもあり、その場合他の銀鉱物との肉眼鑑定はかなり難しくなります。

この石もステファナイトとしていますが、きっちり分析すると違う可能性もあります。銀のあの白っぽい金属色からは想像できない黒っぽい結晶です。結晶していないとなお一層鑑定が難しくなります。

銀鉱物はたいていの場合このように結晶で産することが少なく、結晶度の低い緻密な感じの石英の中にパイライトやカルコパイライト、スファレライトといった 他の金属鉱物の微粒と混ざって黒っぽい筋として産出することが多くなっています。そういった鉱石を銀黒と日本では呼び、各地の鉱山で盛んに銀鉱石として採 掘されました。

産出量の少なさから銀鉱物の結晶はコレクターの中で人気が高くなっています。

このステファナイトを産した神岡鉱山は鉛の鉱物であるガレナの中にマチルダイトという鉱物が細かく含まれることで銀鉱山としても有名でした。ただしこの銀鉱物は眼に見えないものですので、標本としては人気がなく、流通していませんでした。

それが鉱山採掘中に一部の鉱脈から、それまで知られていた鉱床タイプとは異なる出方で銀品位の高いものが見つかり、その鉱脈から盛んに銀鉱物を産したので、銀鉱物の標本鉱山として、一躍名を知られることとなりました。

ステファナイトの8mmくらいの結晶やパイラジライトの10センチほどの塊、2mmほどのアージェンタイトの粒つぶ、5mmくらいのポリバサイト結晶など日本産としてはかなりグレードの高い標本が数多く出回りました。

この標本は1センチくらいの水晶のクラスターの上にステファナイトの結晶がいくつもくっついている良標本です。赤い粒粒はスファレライトの小さな結晶です。

ベスブ石 VESVIANITE 甲武信鉱山産


原産地はイタリアのべスビア火山で、石灰岩が熱変成を受けて変質した部分に産出します。

カルシウム、マグネシウム、鉄、珪素、アルミニウム、水を含む複雑な組成の天然石で、この長野県の産地では日本一とも言える美しい結晶を産しました。

エピドートやアンドラダイトガーネット、グロシュラーガーネットと似た環境や場所で産出しますが、一緒に出ることはなくベスビアナイトだけの塊りや結晶群となっていることが多いです。

色の変化は割ととぼしく大部分が、褐色系か黒緑系の結晶となっています。

結晶の形は四角柱状を基本としており、見分けのつきやすい石です。似た感じの石としては、ドラバイト(苦土電気石)がありますが、ドラバイトは塊で産出することがなく、細い結晶が多いので、見分けがつきます。

水晶 QUARTZ 往古川産


この産地は従来水晶の産地として有名な場所でした。

なんとなく気になっていて訪れて探索してみたところ、従来知られていた水晶の出る坑道周辺ではなくて、別の場所で見つけたものです。

水晶自体は透明感が少なくて、それほど魅力的なものではありませんが、パイライトの結晶がさびてリモナイトになったもの(武石)がいっぱいついていてとても魅力的です。

大部分は錆の塊のような武石でしたが、下にあった一部の晶洞のものは、黒光りする素晴らしい結晶です。結晶の大きな面に小さな細かい平面がいっぱいついていて、じっと見ていても見飽きません。

この武石の割れたものの中には、パイライトの金色の残っているものがあります。

他の脈には全く武石がないのに、これを見つけた場所の水晶クラスターにだけ、いっぱいついていました。
ほんの少しずれた脈には全く伴っておらず、自然の妙を感じる産地でした。

黄銅鉱 CHALCOPYRITE 小坂鉱山産


これは秋田県を代表する大鉱山であった小坂鉱山のパイライトとカルコパイライトです。

この鉱山は黒鉱というスファレライトやガレナを主体とする層状で塊の鉱石を採掘していました。この黒鉱の鉱山は、現在深海底で見られる熱水噴出口の周辺に層状に沈殿した鉱石が、その後の地殻変動により隆起してできた鉱床とされています。

深海の映像で、お湯のせいでもやもやっとして、カニとかエビとがうようよしている奴が熱水噴出口のチムニーの映像です←ほんまにわかんのかこれで??

この黒鉱の鉱山は沈殿して堆積したという性質上、あまり結晶の鉱物を産することがなく、石のコレクターとしてはやや知名度が低いです。

ただしその噴出し口につながる鉱液の通路からは、まれにこのような鉱石結晶の立派なものを産するようで、数は多くないものの、たまに市場で標本を見かけることがあります。

正面にある四角い結晶が硫黄と鉄からなるパイライトで、そのパイライトを包み込むように大きな面がこちらにむいている石が硫黄と鉄と銅からなるカルコパイライトです。

これら金色の鉱物は、よく金と間違われる鉱物ですが、なれてくると見分けることができます。パイライトは一番白っぽく、次にカルコパイライトが黄色っぽく、金はまさに山吹色(黄金色)そのものです。
ただし酸化しているとカルコパイライトでも金に見えてします場合がありますが、そのような時は針でつっつくと分かります。ハンマーとかでつぶしてみても分かります。

基本的に目に見えるような金粒はめったに出ないので、金であると思い込むよりも、金ではないと思うほうが間違いありません。

あとよく間違われるのが雲母類ですが、これは水に浮いたり漂ったりするのと、大量に産出しすぎるので、分かります。

水晶 QUARTZ 吉野鉱山産


この産地の黄水晶は、水晶の中心部に別の鉱物ができており、外から見ると竜巻が上がってるように見えます。そしてその竜巻が水晶の先端に来ると傘が開いたようになっている結晶もあり、とても面白いものです。

この石の右側の水晶2本をよく観察していただくと、中に白い筋のようなものが見えると思います。

いつかこの水晶をトルネード水晶と名づけてプロデュースしようと思っています。

水晶 QUARTZ 吉野鉱山産


奈良の鉄を掘ってた鉱山から出たイエロークオーツです。

シトリンクオーツと呼ばれる黄水晶は、アメジストなどと同じように水晶結晶の中に含まれる微量の成分の発色のものですが、この場所の黄水晶は、細かい角閃石という鉱物が大量に含まれているための発色です。

この角閃石の色合いによって、黄色の濃いもの、少し茶色っぽいもの、寒天のように白いものなどが見られます。拡大してみてみると細かい繊維状の鉱物がいっぱい入っているのが分かります。

国産品でここまで黄色い水晶はありませんでしたので、大変人気のある石です。外国のものはシトリンクオーツが多いようです。アメジストに熱を加えると中の微量成分が変質してシトリンクオーツになるという話がありますが、自分では試してみたことはありません。

この石のクラスターがあれば迫力のあるものなのですが、水晶の出る脈の中で細かく砕かれているので、水晶がばらばらになって採集されたそうです。

この画像のように透明なものと不透明なものと2種類あります。どちらもそれぞれの綺麗さがあります。不透明なものは別の機会に紹介します。

黄銅鉱 CHALCOPYRITE 紀州鉱山産


このカルコパイライト(和名黄銅鉱)は、かつて銅の主要な鉱石として日本国中のいたるところで掘られていました。この標本、細くて白い水晶がついていて、より見ていて面白いです。

独特の金色に似た色合いで、パイライトと並んで金属結晶の中では人気があります。
パイライトはこのカルコパイライトよりも、より白っぽい色合いで、見慣れてくると結晶でなくても判別できます。

ほんものの金は、山吹色と称されるもっともっと深い金色をしていますし、針でつっつくと、当然ながらクニャクニャと変形します。

このカルコパイライトとパイライトはともにサルファー(硫黄)と結びついている天然石なので、屋外にさらしておくと硫黄と酸素が結びついて硫酸となり、石 そのものがボロボロになります。その点、金は変質することがありませんから、いつまでも同じ輝きを保っています(一部銀の多い金は色がくすみますが)。

金ではないのですが、金色のまぶしい天然石なので、置いておくだけでリッチな気分が味わえます。
でもパイライトよりも結晶が取れないので、一般的な天然石のお店では見かけることが少ない石です。

日本はこのカルコパイライトの名産地が多く、かつては安く流通していましたが、閉山した現在、なんだかとても値段が高くなっており、いくらリッチな気分が味わえるといっても、いっぱい買えない石です。

灰重石 SCHEELITE 甲武信鉱山産


長野県甲武信鉱山のシーライトには、アンドラダイトガーネットの晶洞に出るタイプのものもあります。

白色で一見方解石と見分けのつきにくい結晶ですが、持ってみると大変重く、すぐに判別がつきます。

3センチはある大型の結晶で、この露頭からは、ヘスティングサイトの中に含まれた半透明のシーライト結晶も産しました。

この露頭から産したものの最大のものは約15センチあり、現在は神奈川県立生命の星・地球博物館に収蔵されています。

灰重石 SCHEELITE 甲武信鉱山産


今回紹介するものは別のアデュラリアを主体とする晶洞からのものです。

この天然石は、クリーム色をした菱形のアデュラリア結晶の上に白い色の丸いシーライトと緑水晶が結晶したもので、立体的で魅力的な石です。

シーライトの結晶は溶けたような外観になっており、明瞭な結晶面を認めにくくなっています。

緑水晶にシーライトの結晶がともに結晶しているような標本は、私が知る限り日本でこの甲武信鉱山のみの産出です。

この写真では割れた水晶とシーライトの判別がつきにくいかもしれませんが、硬さが全く違うのと、紫外線のライトで照らすと、シーライトのみ光りますので、分かります。

灰重石 SCHEELITE 甲武信鉱山産


シーライトというとタングステンの主要な鉱石として採掘されており、天然石的には無名の鉱物だと思います。
タングステンは比重の大変重い金属で硬度の高い特殊鋼には欠かせないレアメタルとして有名です。

このシーライトはタングステンとカルシウムが結合した鉱物で、金属鉱物の割には不思議と淡い色合いの石です。白色、飴色、透明、黒色、オレンジ茶色あたりがシーライト特有の色です。

シーライトはタングステンの鉱物ですので、見かけの割りにとても重く、この小さな結晶でも、手に持ってみるとずしりと重みを感じることができます。見掛けの割りに重いという意外性が、僕はとても好きです。

結晶のかたちとしては八面体となることが多く、宮崎駿監督の天空の城ラピュタに登場する飛行石はこのシーライトがモデルではないかと考えています。紫外線の下で見ると青白く発光するところがまさに飛行石です。
物語の中で結晶ではない飛行石が出る鉱山の坑道内を主人公たちが行きますが、その鉱山は錫の鉱山と紹介されています。事実このシーライトは直接錫に接して産出することは稀ですが、鉱脈の違う部分に出て、同じ鉱山の鉱石として採掘されることがあります。

タングステンの鉱石には、もうひとつウルフラマイトとという鉄とタングステンと酸素が結びついた鉱物がありますが、これは見かけ板状の真っ黒な結晶で、このシーライトと比べると同じ成分を主成分とする鉱物とは思えません。

方解石 CALSITE 神岡鉱山産


岐阜県の神岡鉱山のカルサイトです。

この石は、石英の脈の空隙の部分の小さな水晶の結晶の上にカルサイトの薄い板状結晶ができているものです。

石英が割れて、その隙間をカルサイトの結晶が埋めている感じの出方をしています。

カルサイトの上に緑色の粘土鉱物が付着しているので、緑色に見えますが、本体は白色です。他に伴われている鉱物は細かなパイライトだけです。

この鉱山では、数多くのカルサイト標本を産出しました。マンガン成分を含んでいるらしく、紫外線のライトを当てると赤く光るのものが多いのが特徴です。

方解石 CALSITE 神岡鉱山産


岐阜県の神岡鉱山は多種多様なカルサイトの結晶を産しましたが、これは比較的めずらしい両錐の長柱状結晶です。

変質したヘデンバージャイトの細かい柱状の結晶の上に横向きに結晶が成長しています。

2mmほどの細かい水晶の結晶も散りばめられており、地味な色合いながらコレクター的には、なかなか見ていて楽しい石です。

カルサイトは水晶に比べて硬さが低く、見ただけでも何となく柔らかそうな感じがします。

この石の場合は結晶の端の面と柱の部分面の数が水晶と異なることと、柱の面の部分に斜めに結晶の成長線が見られることで、水晶と異なると鑑定できます。

アポフィルライトとは、一見端の部分の結晶面が似ていますが、アポフィルライトはあまり柱の長い結晶にならないことと、硬さの違いで分かります。アポフィ ルライトと同じ面で割れやすい性質(へきかい)は似ていますが、アポフィルライトの断面は、ぼーっと光ったような感じで見えることが多く、カルサイトは割 りと平滑にぴかっと光って割れた面が見えます。

余談ですが、アポフィルライトの日本名である魚眼石は、割れ口のぼーっと光った照りが魚の眼に似ていることから名づけられています。

蛍石 FLUORITE 紀州鉱山産


天然石愛好家の方には大変人気のあるフローライトですが、日本にも綺麗なものが産出していたということを知っていただきたく、三重県紀州鉱山産のものをご紹介いたします。

この紀州鉱山は黄色の石カルコパイライトの記事として紹介しているように銅の大鉱山でした。

カルコパイライトの鉱脈の一部にこのフローライトを多く伴う脈があったようで、白や淡い青色、淡い緑色をしたさいころのような6面体結晶のクラスターを見かけることがあります。

緑とも空色ともつかない微妙な色合いのフローライトで、一部は本当に透明な結晶となっており、鉱山を採掘しているころは、日本も立派な鉱物・天然石標本産出国であったことを知ることができます。

鉱山閉山前にはこういった標本の販売所があり、数百円から数千円程度で、比較的安価に鉱山から購入することができたそうです。今でも売っているのであればダンボール箱3個分くらいは買ってしまいそうですね。

残念ながら20年以上前に閉山しているので、僕は直接買い付けに行けていません(涙)

方解石 CALSITE コオノマイ産


この石は15年ほど前に紋別市のコウノマイ鉱山の近くにある採石場に入らせてもらって採集させてもらった天然石です。

玄武岩の中にまるで卵のような形をしたノジュールがたまに入っており、そういったノジュールを叩き割ると、中身はこのようにカルサイトである場合と、もっと稀にアメジストである場合があります。

この産状は、今世界的にもっとも流通しているブラジルのアメジストと同じものです。ブラジルのものは1mくらいのものまでありますが、この産地のものは30センチくらいまでです。アメジストも大変色の薄いもので比べると少し寂しい石です。

この石のポケット中央部分はカルサイトが大きく結晶しており、ポケットの壁の部分にはアゲートが層になって沈殿しています。このアゲートの裏側には白い毛のようなマグネシウムフェリエライトが点々とついていて、コレクター的には楽しめる石です。

採石場ってよく戦隊もののロケに使われていますので、そういう場所でハンマー振り回してると、何だかショッカーの構成員になったような気がします。

魚眼石 APOPHILLITE 神岡鉱山産


水晶との見かけ上の違いは、アポフィルライトの先端部分の面は4面、水晶は6面または3面です。
それとアポフィルライトは、柱面に対して垂直に割れやすい面があり、そういう部分がボーっと光っている石があります。
水晶には顕著に割れやすい方向というものがないため、クラックがあっても不規則に入ります。

魚眼石 APOPHILLITE 神岡鉱山産


水晶にだけなぜか茶色の粘土がついており、ぱっと見てどこが水晶なのか良く分かる石です。この粘土の下は透明な水晶が隠れています。

グリーンガーネット(アンドラダイトかグロシュラーのどちらか不明)の小さな結晶のクラスターの上に、もこもこと3mmくらいのアポフィルライト結晶が積み重なっており、ガーネットのグリーンが透明なアポフィルライトを通して見え、とても美しいものです。

この写真では、レインボーっぽいものもいっぱい見えていますね。

半年に一回くらい、この石の出た神岡鉱山を訪れていましたが、訪れるたびに飾られて販売されている石が入れ替わり、行くのが本当に楽しみでした。

ロシアの沿海州にダルネゴルスク鉱山群がありますが、出ている石や鉱石が、この神岡鉱山とてもよく似ており、日本がアジア大陸から切り離されてできたとす るならば、元は隣接した鉱床ではなかったのかなどと思いが飛びます。ダルネゴルスク鉱床群が実際にできた時代を知りませんので、あくまでも夢想に近いもの です。

方解石 CALSITE 神岡鉱山産


この石は岐阜県の神岡鉱山というところで採集されたものです。

緑色の粘土が少し表面についていますので、本来の色よりも少し緑色に見えます。

この産地のカルサイトはマンガンを多く含んでおり、紫外線灯で照らすと、赤く光ります。

とがった黒い部分は亜鉛の鉱石であるスファレライトで、一度できたスファレライトが地殻変動により割れ、その隙間にこの炭酸カルシウムに富む鉱液が通り、カルサイトが沈殿結晶化したものです。

カルサイトの結晶でスファレライトの破片がくっついている面白い標本です。

水晶 QUARTZ 小川山産


長野県と山梨県の県境標高2000mの地から産出した水晶です。

花崗岩の大規模な石英脈が谷筋に数多く見られ、小さな水晶のついている石なら、それこそ累々と積み重なって光り輝いています。

採掘人は山梨県側から徒歩で採掘に来ていたとか、信じられない話ですね。

10センチくらいの結晶です。

魚眼石 APOPHILLITE 神岡鉱山産


アポフィルライトはインドの玄武岩の中から出るものが標本市場をにぎわせていますが、日本国内でもこの産地のものはかなりのレベルの標本が産出しました。

残念ながら白から透明な結晶ばかりですが、他の産地のものに比べて、かなりいい標本レベルです。日本のほかの産地のものはもっと小さな結晶か、結晶の形を示さない場合が多く、カルサイトや珪石などに混ざってると存在に気づかない場合が多い石です。

細長い菱形が4つ組み合わさったような結晶の形をしています。

カルシウム、カリ、フッ素、珪素からなる鉱物です。

この石は鉱山の販売所に非売品で飾られていたもので、何度か買いたいとお願いしたのですが、販売してもらえませんでした。
別の機会に当時つきあっていた彼女が行く機会があり、お願いしたところ、売ってもらえました。やはり女性の魅力の前に、鉱山技師のエリートである探査の方も弱かったということですね。

今は鉱山も閉山してしまい、販売所の建物も壊され、彼女とも別れ、このアポフィルライトだけが僕の引き出しの中で無垢な輝きを放っています。
余談ですが、別れるときにたいていの石はこっちに来たのですが、あるアポフィルライトの結晶標本だけは、お気に入りだったようで持って行っちゃいました。今頃あの子とあの石はどうしているのかなぁ。

氷長石 ADULARIA 甲武信鉱山産


この石は、晶洞の中で浮いた形で形成されたもので、ほぼ全体がアデュラリアと水晶の結晶で構成されています。
アデュラリアは長石族の鉱物で、カリウムとアルミニウムと珪酸で構成されています。

これも自由方向に結晶した水晶の隙間を埋めるかのように菱形をしたアデュラリアが結晶し、とても見ごたえのある天然石です。

アデュラリアは本来、透明から白色の天然石ですが、この石は鉄さびで染まっているため茶色になっています。
この石の出た晶洞は、うにのとげのように結晶した水晶が詰まっており、つっつくとカラカラと音を立てて、岩の隙間から、水晶が転がりでてきました。出てきた中でも大型のクラスターです。

水晶 QUARTZ 神岡鉱山産



ある程度自由な方向に成長していった水晶のクラスターです。透明感の素晴らしい水晶で、ちょっと何かに触れるととても心地よい高い反響音がします。

いろんな水晶がありますが、このように立体的で色々な方向に結晶しているクラスターはとても好みです。

石英の中にある晶洞の部分に浮いたようなかたちで産出したものです。浮いたような状態でないとこのような形態のクラスターはできません。

粘土や錆を伴っていないので、すごく綺麗な石です。けどこういうのは日本では少ないんです(涙)

方解石 CALSITE 布賀鉱山産


昔サンゴ礁だったものが、再結晶化して珊瑚に見えるのですから、自然の造形美には驚くばかりです。

水晶 QUARTZ 玉山鉱山産


岩手県にある金山の水晶です。

山の頂上に登る林道が開削されたときに、金山の跡を通り抜けており、金を含まないので、鉱山としては採掘されていなかった鉱脈が多数露出しました。
その鉱脈には多数の水晶が含まれており、最大で20センチにも達する水晶が出て、当時非常に話題になったものです。

林道の表面には破片を含めるとかなりの数の水晶が散らばり、夏の強い日差しの下できらめく様子はとても素晴らしいものでした。

金山ですので、1個だけ金の結晶のついている水晶を採集することができ、自慢の天然石となってケースに収まっています。

水晶 QUARTZ 白鳥山産


愛知県としては一番ではないかと言える白水晶の産地の石です。

この水晶の出る山は山頂のところに20mほど高さのある水晶の岩があり、所々水晶の生えている穴が下から見えます。

ほとんどの穴はすでに水晶が掘られているようですが、一部見落としを探せば、今でも水晶を見ることができます。

本当は山頂付近の土砂をのけて探せば、まだまだ水晶が出てくるとは思いますが、それこそ環境破壊になっていまいますので、そっと眠らせておくほうが良いのかも知れません。

結晶の形は熱水鉱脈のアメジストにありがちな柱面3面が大きく発達したタイプのものです。残念ながらアメジストは見つかっていません。それに熱水鉱脈ではなくて広域変成岩の中の珪岩岩体中の産出です。

鉄錆をあえて取らずに残しています。そのほうが自然ぽくて好きですので。

逸見石 HENMILITE 布賀鉱山産


この前のヘンミライトがどっちかというと、白い石でカルサイトとすべき天然石でしたので、今度はヘンミライトが主役のものにしました。

この標本は、結晶のあまり大きくない細かいカルサイトもこもこの亀裂に、ヘンミライトがびっしり結晶したもので、結晶の大きさは約3mmです。これだけ結晶が集まるととてもゴージャスですね。

結晶の中心部に銅の酸化鉱物であるテノライトを含むものがあり、そのような結晶はとても色が濃く見えます。この写真の中でも光を通していない結晶に含まれている可能性があります。

強い光の下で青紫色の結晶がきらめく様は、日本の天然石の中でもトップクラスの美しさです。

茶色っぽく見える部分はチャールザイトの非常に細かい結晶の集合体です。

逸見石 HENMILITE 布賀鉱山産


聞 いたことがない名前の天然石だと思います。ボロン(ホウ素)と銅とカルシウムからできたもので、世界中で岡山県のとある場所でしか出ないものです。通常 ボロンは、珪素と鉄と結びついて、ショールやアキシナイト、ダトーライトなどとなるのですが、通常生成される温度域よりもより高温の特殊な状況下にあった この産地では、それら鉱物は見受けられず、その他数多くの世界新産鉱物となって見つかっています。

数多くの珍しいものを産する場所ですが、その中でもとても美しく明瞭な結晶となるこのヘンミライトはとても人気があります。

大きくても1センチまでの結晶で、硬度も低いので、とても研磨に耐えるものではありませんが、カルサイトの母岩に独特のひし形をした結晶がついている様や紫色がかった青色をした結晶は、多くの人々を魅了しています。
数年前にこのヘンミライトを大量に産する4mにおよぶカルサイトの晶洞が見つかり、標本市場をにぎわせました。現在はほぼ採掘しつくされ、市場に出回っておりません。

ペンタハイドロボライトに伴うもの、つや消しカルサイトの上にのってるもの、細長いカルサイトの結晶についているものなど、色々なタイプがあります。この標本は細長いカルサイト結晶に伴うものです。

異極鉱 HEMIMOPHITE 神岡鉱山産


この天然石は、亜鉛と珪素が結びついたもので、亜鉛の鉱山の地表に近い部分に層状の塊で採取されます。

この産地のヘミモファイトは白いものがほとんどですが、ごく一部にこのブルーのタイプが見られました。

銅の関係の発色と思われますが、詳細は不明です。

将棋の駒のような結晶が出ることがありますが、あまり大きなものではなく、ほとんどのものは細かい結晶が集まって、もこもことした外観をしています。このもこもこぶりに人気がある天然石です。

磨いてみると繊維状の断面が見えて、絹のような輝きが見受けられ、結構綺麗なものですが、柔らかいので傷がつきやすく、研磨した加工品は、ほとんど流通していません。

菱マンガン鉱 RHODOCHROSITE 大江鉱山産


学 生の頃27日間かけて北海道東北地方を巡ったときに、北海道の大江鉱山というところで拾った石を、カッターで磨いてみたものです。鉱山はすでに閉山して いましたが、坑内から出る酸性水を中和するプラントが稼動しており、そこにいた方にお願いして、場内で拾わせてもらいました。採掘当時に出た石が採りため てあって、積丹ローズ?とかいう商品名で研磨されて販売されているそうです。外国ではペルーやアルゼンチンの鉱山のものが、インカローズという名前で販売 されています。

真っ黒いマンガンが炭酸と結びついてできた石で、真っ黒いイメージのマンガンがこんなに綺麗なピンク色になることが驚きで す。仲間にマンガンと珪素が結び ついたロードナイトがあります。赤い色の天然石は色彩の華やかさから人気がとてもありますが、赤い色の天然石は種類がとても少ないです。

こ の石は単純にロードクロサイトだけでできているものではなくて、クオーツ(水晶)やバライト(バリウム)マンガノカルサイトからできています。ロードク ロサイト自体も結晶していたり、細かい粒になっていたり、地球の深いところで、岩の亀裂を通って何度かのできる作用が働いてできた様子が観察できます。

拾ったときは二酸化マンガンが吹いて真っ黒な石でしたが、切ってみると、こんなに美しい石になりました。

どこを見ても同じように見える場所がないので、じっと見ていても見飽きません。大好きな石のひとつです。

閃亜鉛鉱 SPHALERIT 神岡鉱山産


このスファレライトという石は、色々な色のある石です。
一般的なスファレライトは黒色から飴色のものですが、今回紹介するものは赤い色をしたものです。

水晶のクラスターの裏側に2mmくらいの大きさのものですが、赤い透明な結晶がいくつかついています。周辺にはカルサイトの結晶も伴っています。

この手の色合いで大型の結晶があれば、屈折率の高い石ですので、それなりに美しいルースになると思うのですが、世界的に見ても大型の結晶は少ないです。

この産地でも2mmまでの結晶で、しかも少量産出するのみです。
圧倒的に多い色合いは、鉄分の多い真っ黒なスファレライトです。この黒色のものはあとで紹介します。

硫黄と亜鉛の石がこんなに美しい色合いを出すというのがなんとなく不思議ですね。

パイロクスマンガン石 PYROXMANGITE 田口鉱山産


日本産赤い天然石の代表格と言えば、このパイロクスマンジャイトです。

日本全国でマンガン鉱石としての産出は多いのですが、透明で大型の美しい結晶を産したのは、この愛知県の田口鉱山です。

この産地のパイロクスマンジャイトは世界的にも有名で、アメリカのカリフォルニア州立自然史博物館にて展示されているものを見たことがあります。

ロードナイトやパイロクスマンジャイトといった珪酸マンガンの鉱石の中にネオトス石に充填されたポケットがあり、その中から最大2センチまでの結晶が多産しました。

この珪酸マンガン鉱石の中にはスペサルチンやアパタイト、モリブデナイト、コバルタイトといった鉱物も含まれることがあり、マンガン成分以外にもさまざまな元素を含んでいます。

珪酸が多いということと、燐分を含むと、マンガン鉱石としては低いグレードになるようで、鉱山の捨石の中にまぎれている石です。

宝石としては、へきかいが発達しているので、かなりカットが難しく、ほとんど加工されていません。標本コレクター向けの石となっています。